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着物についた汗の対処法 汗のついたままの着物は放置しないようにしましょう

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暑い季節にも涼やかに着物を着たい。実際に麻の着物に麻の襦袢等を着るとTシャツ・短パンでいるよりも体感温度が低いと言われておりますので、そのような願望をお持ちの方もおおくいらっしゃると思いますが、暑い季節は特に着物に着く「汗」が大敵です。しかし、この汗について、意外とご存じない方も多くいらっしゃるので今回はそんな点をまとめてみたいと思います。

汗をかいたままの着物を放っておくとどうなるの?

汗には、様々な成分が含まれていますので、そのままにしておくと黄変したりカビなどの原因にもなります。また、着物の組織自体も損なう事があり、生地が固くなってしまったり小じわが取れなくなったりしてしまいますので、着物を長く大切に着ようとする場合は汗への対処が大切になってきます。

汗はどんな所にかくの?夏だけ注意すれば良いの?

汗は、夏だけ注意すれば良いというものではありません。これは洋服も同様ですが室内の空調が整っている現代ですと、冬でもじんわりと汗はかいています。また冬の汗の方がさらっとしていないので、シミになると頑固な汚れになる場合が多くありますので注意が必要です。ちなみに、汗を良くかくポイントとしては脇・肘や膝の関節(曲がる部分)・帯下があります。補正を行う胸周り等は補正で幾分汗が吸われるので生地まで届く事は少ないと言われております。汗をかいたポイントの見分け方としては陰干し等を行った際に、小じわが寄っている所などが汗をかいたポイントになりますので、その部分を処置すると良いと思います。

丸洗いを定期的に出しているけど、汗への対処は大丈夫?

丸洗いでは、汗は落ちません。しみ抜きの所でもご紹介しましたが汚れには種類があり丸洗いは揮発性の高い油溶性溶剤を使うドライクリーニングですので、汗などの水溶性には効果がありません。その為、丸洗いだけ定期的に行っている着物でも汗の成分が残っていて保管している間に汗シミとなって浮き上がってくる場合があります。

ちゃんと丸洗いしていたのにシミが出てきましたと言って持ってこられる方は非常に多くいらっしゃるのも、ここのポイントをご存じなくてクリーニングに出されているケースが多いからだと思います。

汗は自分で対処できないの?

ご自宅での簡単なお手入れ方法としては以下のような方法でご自宅でも対処が可能です。

(1)目の細かいスプレーや霧吹き(かけた時に水玉が残ったりするものは絶対にNG)しっかりと乾いたタオルを2枚ご準備下さい

(2)着物の裏側から霧をかけますので、タオルをしいた上に着物を裏返しにして広げて下さい。

(3)汗をかいたと思われる場所に霧吹きで水を掛けて下さい。かけすぎると水シミになってしまいますので少し湿らす程度で十分です。

(4)湿らせた部分に2枚目のタオルをかけ、その上から1枚目(下の)タオルにたたき出していきます。

以上が、ご自身で出来る汗の対処法です。(4)は生地がしっかりと乾くまでちゃんと叩かないと水シミの原因になりますので注意をしながら行って下さい。また、汗抜き作業後は陰干しをしてその部分に扇風機を当てながら出来るだけ早く乾燥させるように努めて下さい。

水シミが出来た場合はどうすれば良いの?

水シミが出来た場合は、着物クリーニングの専門店や悉皆屋さんに相談しましょう。水シミは一度ついてしまうと意外と取れにくいのと、シミに汗の成分であるアンモニアや塩分が残っていると汗を広げただけで状態が悪くなっている場合もありますので注意が必要です。

汗抜きはクリーニング屋さんだったらどこでもやっているの?

汗抜き自体のメニューは洋服のクリーニングにもあるように、どちらのクリーニング屋さんでも取り扱っているメニューだと思いますが、着物に関しては着物の専用の汗抜きを行っているかどうかを確かめる必要があります。汗抜きの方法としては、高圧式のスチームのようなもので汗を飛ばす方法等、生地の性質によって手法も様々ですので、そのような点を考慮して行ってくれる着物クリーニング専門店や悉皆屋さんにお願いすると安心だと思います。

着物のクリーニングをお願いする時は汗抜きもお願いした方が良いの?

着物のクリーニングをお願いすると大抵の場合「丸洗い」や「京洗い」という風に言われると思いますが、汗に関しても点検をお願いし方が良いと思います。そして汗が残っているように言われた場合は汗抜きも併用でお願いする方が着物の為になると思います。

特に振袖や結婚式で着用した黒留袖、訪問着などは次に着る機会が定まっておらず、どれくらいの間、タンスにしまったままになるのか分からないものについては、汗の点検は必ずお願いした方が良いと思います。

ちなみに、汗抜き等の知識がある着物クリーニング専門店や悉皆屋さんであれば、その点も含めてご提案頂けると思いますが、そうでない場合はこちらから尋ねた方が良いと思います。

いかがでしたでしょうか?
夏場だけだと思っていた汗は、実は冬の方が重要だという点も含めご理解頂けましたでしょうか?丸洗いでは落ちない汗という大敵に負けないように、汗抜きを含めご相談されるのが良いと思います。

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