スレ直し | 着物の補修・加工
着物のスレ直しとは?
スレとは、着物の生地が濡れた状態(湿った状態)で擦られた時などに白っぽく色が抜けたようになる状態の事を言います。
スレが発生しやすい状況
・汗で湿った状態で帯との摩擦によってできる
・食べこぼしなどの汚れをおしぼりなどで擦ったことによってできる
・汗などで湿った状態で畳みに擦ったとき
上記のように、多くの場合水分を含んだ状態で生地が擦られると出来てしまう事が多く、水分を含んでいない場合等は、生地が起毛している所に変化が出てしまっている場合などは、ブラッシングの際に起毛している向きを整えると直る場合もあります。
しかし、摩擦の程度がひどい場合などは、直すのが困難な生地難の一つと言われています。
よくあるご質問
Q:汗をかいた後が白っぽくなっているのですが、汗抜きで落とせますか?
A:汗が塩をふいている場合もありますので、その場合は汗抜きで問題ないかと思いますが、スレが発生している場合は、スレ直しを行わなければならないと思いますので、一度見せて頂く方が良いと思います。
Q:帯下の折れ曲がった部分が白っぽくなっているのは直りますか?
A:スレが発生している可能性が高いので、一度点検をされた方が良いと思います。
※その他のご質問に対してもお答えしておりますのでお気軽にお問合せ下さい
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ビフォアアフター
着物のスレ直しの工程
① スレ直し作業
当社独自のスレ直し剤を使用して、白っぽくスレが出ている箇所を処置していきます。スレは、生地の毛羽立ちによって出来るので、毛羽立ちを寝かせるようにして、生地が乱反射して白っぽく見えてなくなるように処置を行っていきます。
② 染色補正
スレ直し作業で白っぽさが取れなかった場合は、周りの生地色となじませるように染色補正を行っていきます。この場合、経年の退色なども考えながら染料を調合し行っていきますので、概ね問題なく元の状態に近づけられると思います。
③ 日陰で自然乾燥
下洗い・ドライマシーンでの洗浄後、着物の汚れが取れているかをチェックした上で、乾燥室にて、直射日光を避け自然乾燥していきます。また、この際に適度に風を当てる事でクリーニング特有の匂い等も除去するようにしております。
④ プレス仕上げ
絹の繊維は、水分や熱によって縮む可能性がございますので、直接アイロンをあてることはせず、蒸気の吹きかけと吸引を同時に行いながら次回お召し頂いた際に気持ちよくお召し頂けるよう随所を確認しながら手仕上げで作業を行っていきます。
また、洗い上がりには新しいたとう紙に交換しますので、その後の保管時の吸湿性も保持することが出来ます。
⑤ 梱包・ご納品
移動中の水気を避ける為にたとう紙をビニールの袋でくるみ、移動中に着物がズレてシワにならないようにボールで挟み動かないように固定して梱包致します。
また、今回行った処置ないようについては、着物カルテ(処置内容などを記したメモ)を同封致しますので次回のお手入れまで保管して頂ければと思います。
※訪問や店頭での受け渡す場合は新しいたとう紙に入れた状態でお返しいたします。