お母さん（お祖母様）の黒留袖を活かす引継事例まとめ

以前は親戚の皆さまが黒留袖を着て出席をされている結婚式が多かったですが、最近では新郎・新婦のお母さんだけが黒留袖を着て出席される事が多くなってきました。

そのような状況の中でお問い合わせ頂く事が多くなってきたのが、お母さん（お祖母様）の留袖を活用できるかを見て頂きたいというご相談です。購入する方もいらっしゃいますが、レンタル等も考えた場合に費用的にもいいのではないか？と考えられる方も多いようです。今回はご相談頂いた際によくあるケースを含めてご紹介していきたいと思います。

黒留袖のレンタル・購入・引継（活用）の相場比較

最初に皆さまが気になられる点としては、だいたいいくらぐらいかかるのか？という点です。それぞれ品質や加工内容によって異なりますが概ね相場としてというご紹介になります。

ホテルや式場でレンタルされる場合：２万円台～２０万円台
ネットでレンタルされる場合：２万円台～１０万円台
購入される場合：２０万円台～６０万円台
引継（活用）される場合：１万円～１０万円

レンタルに関しては、品質によってかなりの開きがあり実際には２０万円台以上のものもあります。品質についての悩みとしては、相手の方がどのくらいのレベルの着物を着られるのか？というのが気になるポイントのようで、ある程度しっかりしておきたいという思いが強いと必然的に値段があがっているようです。

また、購入をされる方については複数回着るからという考え方の方もいらっしゃいますが、どちらかというと「ちゃんとしたい」という思いから購入に踏み切られる方が多いように思います。そして、引継については「ちゃんとしたい」という思いを持ちながら「タンスにしまったままの着物も気になって」というご意見や、亡くなられたお母さま（お祖母様）と一緒にという思いもあるようです。

黒留袖の引継事例　「全体的に白い斑点が」

前回着用時の汗や汚れなどからカビが発生し、白い斑点になって表れているケースです。カビは根をはるように着物に付着していますので、これを取るには丸洗い等では取る事ができません。

タオルで拭くと消えたように見る場合もありますが、根の部分は取れていない事が多いので再度発生してくる可能性が高くなっています。この場合は「カビ取り」の作業が必要になります。カビ取りは範囲にもよりますが、だいたい1万円～３万円程度が事例としては多いです。

黒留袖の引継事例　「自分のサイズに変えたい」

サイズを変える場合は、今のサイズを小さくするのか大きくするのかによって値段が変わってきます。サイズを大きくしようとする場合は、まず生地が中に入っているかというのがポイントになりますが、生地が中に入っている場合、影に隠れていた生地を外に出すわけなので当然これまで見えていた部分との間に色の差が出てきます。

その差が目立つ場合は補正作業が必要になりますし、また縫い込んでいた部分に型がしっかりと付いていたり、そこが変色していたりすると更に他の処置も必要になります。逆に小さくする場合は縫い込んでしまうのでその作業は必要ありません。ちなみに、身長差が１０ｃｍ程度であれば概ね問題なく仕立てる事ができると思いますが１０ｃｍ以上の場合、検討が必要になってきます。

黒留袖の引継事例「金箔が剥がれている・金糸が外れているのを治せますか？」

刺繍や金彩の加工がふんだんに施してある場合、金箔同士がくっついて剥がれなくなっていたり無理に剥がしてしまい金箔が剥がれたりするケースがあります。また、柄を囲んでいる金糸が外れてほつれたようになっている場合もありますが、どちらとも問題なく治す事ができます。費用は加工内容によって異なりますが、概ね1万円程度で収まっているかと思います。

黒留袖の引継事例　「黒地の部分が赤く変色しているのを治せますか？」

長年そのままにしてしまっている黒留袖によく起こっている事例です。黒染には「紅下」と呼ばれる赤を下に敷いた上に黒を染めるか、「藍下」と呼ばれる青色を敷いた上に黒を染めるという二つのパターンがあります。

この上に乗せていた黒が経年の劣化によって退色してしまい下地が見えてきているのが、赤っぽく変色した黒留袖です。この場合は一旦洗い張りを行い生地を綺麗にした状態で、柄部分を乗りで伏せて黒色を染めていく必要があります。費用としてはだいたい１０万円程度必要になってきますが、新品を購入するよりはお安く出来上がると思います。

黒留袖の引継事例　「裏地が茶色に変色してしまっている」

前回着用時の汗や汚れ、生地に付着していた糊などの性で変色が起こっています。この場合は裏地を取り換えるか、裏地を漂白すれば問題なく着て頂けます。裏地の取り換えの為には仕立て替えを行う必要がありますので、仕立て代などを含めるとこちらも１０万円程度必要になると思います。しかし、別の裏地を持っている場合などについては、それを代用品として使う事で費用を抑える事もできます。

いかがでしたでしょうか？
ご紹介させて頂いた５つの例がお客様がお持ち込みる場合の事例です。これ以外にも様々なⒿ例がございますが、まずは相談をしてみる所から始めると必要な処置が的確に出来るかと思います。