1. HOME
  2. ブログ
  3. 入学式や卒業式に着ていく着物どんな柄を選ぶべき?

入学式や卒業式に着ていく着物どんな柄を選ぶべき?

梅の花が咲き、桜の花が芽吹き始めるころ・・・。日常の忙しさの中で、分かってはいたけどやってくる入学式や卒業式。「着物」を着るぞ!と一念発起したけど、何を選べばよいかが分からない・・・。梅の花は時期が違うの?季節に合わせには何を選ぶと良いの?格式は?などなど、分からない事だらけだと思います。今回は、そんな着物選びの際の文様についてご説明をしたいと思います。

着物の文様について

四季折々の草花や、吉祥文様と呼ばれる古くから伝わる文様など、着物には様々な文様があしらわれています。そんな文様の意味も分からず選んでよいものなのか?と思案される事もあるのではないでしょうか?ここでは入学式や卒業式などのお祝いの席に適してい文様をご紹介していきたいと思います。

宝尽くし

吉祥文様の代表格の一つとして、多くの着物や帯にあしらわれている文様です。簡単に言うと幸せになる為の道具をひとまとめにしたようなおめでたい文様という事なので、もちろん入学式や卒業式にも最適だと思います。

宝尽くし柄の意味とは?

宝珠【ほうじゅ】:願い事が叶うように

隠れ蓑・隠れ笠【かくれみの・かくれがさ】:危険から身を隠せる(守れる)ように

打出の小槌【うちでのこづち】:多くの幸せが訪れるように

鍵【かぎ】:大切なものをしっかりと守れるように

金嚢【きんのう】:お金に困らぬように

宝巻・巻軸【ほうかん・まきじく】:多くの知恵を授かれるように

筒守【つつまもり】:多くの知恵をしっかりと留めて置けるように

分銅【ふんどう】:お金に困らぬように

丁子【ちょうじ】:魔除け、刀の錆止め、防虫剤、香として使われたもの

この他にもありますが、それらの中から組み合わせて使用し宝尽くしと呼ばれております。

七宝(しっぽう)

七宝の名前の由来は仏教の教典に出てくる七種の宝のことを意味し、金,銀,瑠璃(青い宝石),玻璃 (水晶) ,しゃこ貝 ,珊瑚,瑪瑙(めのう)であると言われています。

円形が永遠に連鎖し繋がるこの柄には、人のご縁や繋がりは、七宝と同等の価値がある事を示していると言われており、円満、調和、ご縁(良縁)などの願いが込められた縁起の良い柄だと言われております。着物の地紋にも使われております。

松竹梅

お弁当の格付けをイメージされたり、正月などじゃないとダメじゃないかと思われたりする方もあるかと思いますが、松竹梅とは三つで一つの文様として取り扱われており、そもそも中国の歳寒三友(さいかんのさんゆう)と言われる宋時代の文人画の代表的な画題とされていたものですので、正月でなければならないという訳でもありません。

松竹梅柄の意味とは?

松(まつ):厳しい冬の寒さに耐え四季を通じて緑を保つ事から「繁栄」やその佇まいから「威厳」等の意味が込められていると言われております。

竹(たけ):竹のように節度を持ち人生を迷うことなく真っすぐに進むことができるようにという願いが込められた文様。「成長」や「発展」という意味もあると言われております。

梅(うめ):寒さ(試練・困難)に耐えやがて美しく花開くようにという願いが込められた文様。「生願成就」等の意味があると言われております。

ちなみに、それぞれ個別の場合にも同様の意味があると言われておりますので参考にされると良いかと思います。

日本の国の花としても、春の代名詞としても思い描く「桜」の文様はもちろんこの季節にも入学式や卒業式という晴れの日にも良く似合う文様だと思います。また、意味合いとしては一気に咲く姿より「繁栄」や「豊かさ」の象徴とも言われております。

ちなみに、この桜の文様は枝が付いている「桜」を描いたものと、文様としての「桜」文様がございます。一般的には枝が付いているものは、春を彩るものとして、枝がついていないものは、諸説ございますが稲作の神が宿るという五穀豊穣の意味があるそうですので年中来て頂いて良いものとなっております。また、枝が付いていたとしても桜だけを描かず、他の四季折々のものと合わせて柄付けされているものについても、どの季節で来て頂いても良いようにと考えられているものなので問題ないかと思います。

楽器の文様

笛や鼓、琴など、和楽器も着物の文様として使われる代表的なものの一つだと思います。楽器の文様は、全てのものに通じる考え方として「美しく鳴る」という事が表現されていると言われており、転じて美しく成る、美しく成長するという意味合いが込められていると言われておりお宮参り着などの晴れ着によく描かれています。また、この事から生願成就という意味合いもあり、入学や卒業などのシーンでも良いと考えられます。

季節外れのようにも感じる波の文様ですが、こちらも様々な着物に描かれる文様の一つです。波は、何度も何度も岩を打ち、岩の形や地形さえも変えてしまうことから「強い意志」や「「不撓不屈の精神」を願う柄とされているそうです。この点から考えると、そのような想いを持って学業に励んでほしいという親心という意味では良いと思われます。

また、波の形によっても様々ございますが中でも「青海波」と言われる柄が代表的で、無限に広がる穏やかな波に未来永劫と、平和な暮らしへの願いが込められていると言われております。

唐華紋(正倉院紋様)

こちらの柄もよく見かける柄の一つだと思いますが、発祥は奈良時代に唐やペルシャなどシルクロードより伝えられて生地にあしらわれた文様と言われており、正倉院に保管されているものを正倉院裂、法隆寺に伝わるものを法隆寺裂と言われております。

また、そこに伝わったものを円形状にあしらったものを唐華紋と呼ばれております。こちらは入学式や卒業式だけでなく、伝統的な吉祥文様として広く使って頂ける紋様だと思います。

組紐紋様

組紐だけで描かれているものもあれば、他の柄と合わせて描かれている事も多い「組紐紋様」こちらは、幾重にも組み込まれる組紐の制作行程から「絆」という意味合いや、組紐を結ぶという事から「良縁・ご縁繋ぎ」という意味があると言われておりますので、入学式や卒業式の門出にはとても縁起のよい文様の一つだと思います。

こちらの柄も先程の組紐と同じように単体で書かれている事もあれば、他のものと合わせて描かれている時もあるかと思います。

雲はその形状や、消えては生まれてくるという性質から何かが起こる兆しや予兆を感じさせるものとして古くから親しまれてきました。また、龍の住処や神々のおられる所などとして昔から畏怖され、常識を超えた力との接点とも言われておりました。そのような事から「悠々自適な暮らしへの願い」や「超越した力を得る」という意味だったり、輪廻転生の意味があるように言われておりますので、願いを込めてという意味で行くと良い文様の一つだと思います。


いかがでしたでしょうか?着物はその紋様一つひとつに様々な意味が込められており、その意味あいを分かって着るのと、そうでないのでは気持ちも違うように思います。

もし、ご自身の着物でどれを着ようかと迷われている場合は、参考にして頂けると幸いです。

関連記事